「お母さんによろしくね」

「おばあちゃんも、元気でね!また来るね!」


今乗った電車が出発する時のある会話。
きっと、孫と祖母の会話。おばあちゃんはSuicaをひもで首から下げていて、何度も「気をつけてね」と繰り返す。

自分は父親の誕生日と弟の卒業祝いの会食の帰り。
中華街で親父は珍しく酒を二杯飲んだ。
帰りの駅までのタクシーでは、「お前の結婚のお祝いもあの店でやるか」と笑いながら言っていた。

午後からは御苑の花見に行って、オカマまみれだった。
一旦抜け出して、中華街で食事をしたものの、これから帰るところには彼氏とゲイの友達が花見の二次会をしている。

母親は駅で見かけたおばあちゃんにはきっとなれない。
父親は多分あの店で結婚のお祝いはできない。


でも、彼氏と友達の待つところに俺は帰るのだ。
そして、ひとまず今夜は笑って過ごすのだ。